新建築住宅設計競技2007

2010年5月14日

SHINKENCHIKU RESIDENTIAL DESIGN COMPETITION2007

新建築住宅設計競技2007

課題:A House with Resale Value リセール・バリューのある家

審査員:小嶋一浩

リセールできることとは,価値が古びていかないことである.時間の経過と共に,価値が増すようなら,申し分ない.欧米はともかく,アジア,とりわけ日本で は,建築は,「築年数の増大=価値が減る」ということになってしまっている.東京では,驚くべきことに戸建て住宅の平均寿命は20年かそこらである.土地 が取引される時,建築がその土地に建っていると,建築の取り壊し費用分が土地代から減額される.これほど建築家にとって嘆かわしい場所はないだろう.
歴史上,最も「リセール・バリュー」の高い住宅とは,なんだろう.「ヴィラ・ロトンダ」(A.パッラディオ)が,参照された回数=リセールの価値とカウントすればナンバーワン.20世紀に限定すれば,ル・コルビュジエの「ドミノ」だろうか?
21世紀の住宅の「リセール・バリュー」を考えるのが,今回の課題である.何がリセールを成立させる「価値」たり得るのかを考えて提案してほしい.
そして,提案に先立って,周辺(サラウンディングス)を設定してほしい.20世紀の建築は,世界中どこででも再現可能な,周囲に対してスタンド・アローン な「普遍性」だったとするならば,21世紀の現在は,周辺を含めてどうハンドルするかが問われているからだ.局所的な問題を組み立てること,そして最も大 切なのは,提案が世界の離れた場所からも共感を呼ぶような,単なる地域主義を超えたものであることだろう.
エントリーする人おのおのが設定した「周辺」と提案との応答性に興味がある.私自身が設計した「Space Block Hanoi Model」(本誌0309)では,異様に細長い短冊状の敷地割りに,高密度に暮らす知恵が詰まっているという状況が出発点だった.「周辺」を「環境」と 捉えてもよいし「周囲」と捉えてもよい.そこからもう,思考は始まっている.
この場所は「新建築住宅設計競技」なのだから,「リセール・バリュー」という言葉が単に商業主義に迎合するとか,耐久性やサステナビリティに終始するような提案は期待していないのは言うまでもない.もっと踏み込んで,根源から戦略を考えてほしい.

審査員プロフィール

審査委員 小嶋一浩
  • 1958年 大阪府生まれ.
  • 1982年 京都大学建築学科卒業.
  • 1984年 東京大学大学院修士課程修了.
  • 1986年 東京大学大学院博士課程在学中に,伊藤恭行ら7人とシーラカンスを共同設立.
  • 2005年 CAtに改組.現在,CAtパートナー.
  • 現在,東京理科大学教授,京都工芸繊維大学客員教授.京都工芸繊維大学特任教授,東京大学非常勤講師等を兼任.

応募方法

以下のものを送付すること.

  1. 寸 法594mm×841mm(JIS規格A1)2枚に,配置図,平面図,立面図,断面図,アクソノメトリックまたは投影図,パース,その他設計意図を説明す るに必要と思われる図面や,模型写真,グラフなどの図版,文章などを各自選択して描くこと.パネル化はしないこと.また,各用紙の裏側に,応募者の氏名・ 住所・電話番号・ファックス番号・e-mailアドレス・年齢・職業を明確に記入し,その部分を見えないように上部から紙で覆っておくこと.
  2. (1) のA1紙2枚をそれぞれデジタルデータとしてCD-R,またはDVD-Rに保存すること.データフォーマットはPDFまたはJPEG,サイズは 2,500pixel×3,000pixel,解像度72dpi.応募用紙上に使用された文章と(1)裏面の応募者の個人情報とは,別途テキストファイル として保存し添付すること.(1)の個人情報はCD-RまたはDVD-R本体の表面にも直接記入すること.

応募締切

2007年9月18日(火)必着.(持込み不可,送付のみ.)
「新建築住宅設計競技係」宛とし,表書きに「新建築住宅設計競技2007応募案」と明記すること.

応募先

株式会社新建築社
新建築住宅設計競技係
〒113-8501 東京都文京区湯島2-31-2

入選発表

月刊『新建築』2007年12月号(2007年12月1日発売)を予定.

入選賞金

入選点数および賞金(総額150万円,うち50万円は吉岡文庫育英会)の配分は審査員の決定に従う.

その他

  • 応募作品の著作権は応募者に帰属するが,入選作品についての出版権は新建築社が保有する.応募作品は一切返却しないので,必要な場合はあらかじめ複製しておくこと.
  • 応募要項についての質問は一切受け付けない.要項に書かれている範囲内で応募者が各自判断すること.
  • 応 募作品は未発表のものに限る.応募作品の一部あるいは全部が,他者の著作権を侵害するものであってはならない.また,雑誌や書籍,Webページなど,著作 物から複写した画像を使用しないこと.著作権侵害の恐れがある場合は,主催者の判断により入選を取り消す場合がある.応募に関する費用(送料,税金,保険 など)はすべて応募者が負担すること.

個人情報の取り扱いに関して

本コンペにおいて取得した個人情報は,本コンペ以外には使用しない.また第三者に譲渡や転売はしない.



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